竹炭活用の実例集

Bamboo charcoal examples

《震災復旧工事》

令和6年能登半島地震被災地、石川県七尾市での震災復興一期工事における有機土木施工。伝統工法に基づく有機土木。

①斜面擁壁基礎工事の下地に炭(竹炭、くん炭)、藁が敷かれる。
②グリ石に震災瓦礫(地震で倒壊したコンクリート塀の再利用)が用いられる。
③瓦礫グリ石が敷き込まれた隙間に、炭(竹炭、くん炭)、落ち葉が詰められ、その上に藁が敷かれる。
再度、瓦礫グリ石・炭(竹炭・くん炭)・落ち葉・藁の層を繰り返し、井桁の杭が囲われ地中に固定される。
これが、地中への水の浸透を招き、液状化を起こさない健康な斜面再生の施工となる。
情報提供:有機土木協会

 

《生態系豊かな河川環境維持の護岸工事》

夷隅川下流域に面したSecret Break Isumi(宿泊施設)。生物多様性に配慮し、持続可能な川岸環境を培う。
現代土木に懸念される、土中の水流の動き(水脈)や河川の生態系を無視したコンクリート護岸。水量を流せばいいという現代工法は、多くの水害を招いているのが現状である。
Secret Break Isumiオーナー、施主の西井さんは、いすみ市が掲げている「生物多様性戦略」に沿うべくして、河川の生態系に配慮し、そこの風土・自然環境が良好に維持されていく地盤作りを目指して、自費にて護岸の整備を実行された。施工業者は、大地の整体師で知られる高田宏臣氏の高田造園。焼き杭や有機資材と共に大量の竹炭もまた土中に施用。大地を潤す水の動き(水脈)を考慮し、河川敷の水の出入り”浸透・湧水”の重要性と生態系の保護を実証したモデルケースとなっている。

《かなめのもりビル   スラブ上での杜創り》

東京都品川区、武蔵小山商店街に位置する『かなめのもり』ビル。
ビルのオーナー、井上さんは「地球・街・経済 すべてに良い循環を」をモットーに、ビルの建設から緑化までを、地下水を涵養し水が停滞しない土中環境を地盤として構築した。ビル街の谷間に土中の涵養域が育まれ、そこに菌類微生物豊かな生き物たちの世界が、土中・地中深くへと育ってゆく。
植えた木々は雑木の苗木。通常の屋上緑化とは異なり人工資材は用いず、炭(竹炭)・くん炭・藁・落ち葉・グリ石・瓦片・伐木剪定枝など、周辺の野山で手に入るもので構成されている。人工潅水装置不要の、本物の杜空間を創り上げるべく試みられたプロジェクト。
ビルのもりには、どこからともなく鳥や虫たちがやってきたり、自生で芽吹いた植物の物語も繰り広げられている。都会のビルの谷間でも、こういった豊かな杜を築くことが実現できている。

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